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石灯篭と庭石


各地の名石を庭に集めてみたい欲望に駆られたのは、やはり父親の影響。

現在の庭より規模は小さいし、石も殆どが近在の山石で組まれていた。

其処で生まれ育ったわけだが、昭和35年(実は自分の結婚記念)に、

義父から贈られた、『土佐』約3dの、風合に魅せられたのが収集の動機になった。

まず現状の”山石に苔”の風情はそのまま残して、川・海石を

随所に配置しての改良に着手した。


当時は揖斐川で大量の、庭石の販売がされていて、一車単価で価格も廉い。

大方『揖斐石』で形を整え、例えば鉢台・袖などの基礎造り、所謂見付け(主役)以外の

場所に配置して準備完了!

あとは、石といえども高価なので、時間をかけてじっくり探すことにした。

まず彩りを添える為,赤石『館山寺』を、次に紀州『那智』、他。

 最後に『鞍馬』は、入手困難の上に高価だったので、随分後になってしまったが

あの錆色の魅力は、捨て難く、飛び石だけでもと,奮発した。

次に木製の橋を、石に替えたくなり思案した。

と言うのは、池幅が3m以上有る為既製品では間に合わないのだ。

幸いなことに岡崎は花崗岩の産地、友人に石材業者がいて相談したら

「石材は丸い玉の中心に近い硬い部分を使う為、外の皮の部分が湾曲していて橋に

使えるから探してあげる」と言ってくれた。待つことしばし、忘れかけていた頃、

『箱柳』(岡崎の町名)に、使えそうな長さの物が見つかった、と言う連絡があり、

石切り場まで、寸法を測りに行った。同行した常用の庭師が、多分使えそうだと言うので

搬入の手配をした。さてそれからが大変だった、と言うのは公道から庭園まで

15m位あり、しかも重機の入れない道幅、重さは4.5t、道具はコロの鉄棒と台車とテコ、

しかもサイズが池幅ぎりぎり、木材を池に渡し石を載せてから木材を取り除いて

架ける段取り、万が一外れて池に落ちれば、工法を再検討しなければならない。

おまけに、なんと12月31日の夕刻の事、石橋を池に落としたまま年越し、

休日明けまでお預け、まして心配なのは、落下の衝撃での池の損傷、修復の為の

鯉の移動保管なども考えなければならない。やっと池の木材の上に載ったが、

木材を取り除き両端を池端に下ろす作業が慎重に行われた。庭園灯を照らし、

終わった頃は、紅白歌合戦が始まっていた。

なんと搬入と架橋に5日の工期を費やした。年明けに懸かろうと言う庭師に

2日もあれば出来るだろうと、素人考えで頼み込んだが

気の毒な目に合わせてしまった。

庭師に喝采を送ったが、私の我が侭にきっと呆れていただろう。

両端が20cm位しか掛かっていない石橋を見ると、今でもこの時のことを想いだす。





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